人生に迷ったとき、心に刻みたい言葉【随時更新】

この記事では、読書好きの管理人が厳選した、著名人が残した「人生に迷ったとき、心に刻みたい言葉」を紹介します。(著名人あいうえお順)

この中で気になった言葉があれば、ぜひリンクの書籍を手に取って本人の言葉に直接触れてみてください。

目次

岩井克人(経済学者)

「幸福はおカネでは買えない」という真理は、経験的なもの

“「幸福はおカネでは買えない」という真理は、そのような意味では継承できません。それは、一人一人の人間が生きていく過程の中で、真理であることをいちいち納得していかなければならないことなのです。自分で幸不幸を経験し、身近な人間の幸不幸に共感し、さらに小説や映画を通して、数多くの人間の幸不幸を追体験していきながら、自分のものとしていくよりほかはありません。
「幸福はおカネでは買えない」という言葉が七歳の子供からでてきても、空疎にしか響きません。だが、その同じ言葉が七十七歳の老人から出てきたときには、それは人生の知恵が詰まった言葉として響いてくるはずです。”
(『資本主義の中で生きるということ』(筑摩書房)より)

著者によれば、世の中のすべての「幸福論」は、一つの真理を述べているにすぎないと言います。それは、「幸福はおカネでは買えない」ということ。

問題は、この真理がどういう種類の真理であるかということです。これについて、著者は、「幸福はおカネでは買えない」という真理は、ピタゴラスの定理のように数学的に証明可能な真理ではなく、経験的な真理であると言います。

つまり、「幸福はおカネでは買えない」という真理は、最初から前提として存在するかのように演繹的に把握することはできず、個々人が経験的にしかその真理に到達することはできないということです。

そう考えると、人生のあらゆる経験を有意義なものとして捉えることができるのではないでしょうか。

著:岩井克人
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この凡庸な真理に一人一人の人間が達することができる社会

“戦争、政治的弾圧、自然災害などは、経済学の範囲を超えてしまう巨大な不幸です。そのような不幸を抱えた社会を別とすれば、いったいどのような社会が不幸な社会だと言えるでしょうか。それは、飢え、失業、無知、病気、公害、将来の不安、等々に満ち溢れている社会、あまりに人々の間に富が行き渡らず、おカネで買えるものすら買えない社会です。すなわち、それは、おカネで買えるものすら買えないことによって、まさに「幸福はおカネで買えない」という真理に一人一人の人間が達することそのものが、不可能な社会です。

「幸福はおカネで買えない」———この凡庸な真理に一人一人の人間が達することができる社会をいかにつくったら良いかについて考えること———そこに、経済学者と「幸福論」との接点があるのです。

(『資本主義の中で生きるということ』(筑摩書房)より)

「幸福はおカネで買えない」とは言っても、幸福になるのにお金が全く必要ないということではありません。

筆者も、「おカネで買えるものすら買えない社会は不幸である」と述べているとおり、生活をする上である程度のお金は必要であり、それがなければ幸福を手にすることはできません。

「幸福はおカネで買えない」という真理は、演繹的ではなく経験的に到達するしかない真理なので、お金をたくさん持っていたとしても、一人一人が幸不幸を経験しながらそこに辿り着くしかありません。

一方、現代の資本主義社会で格差や分断が加速する中、社会の役割として、「幸福はおカネで買えない」という真理に一人一人が達することができる環境を作っていくことが、今まさに求められています。

著:岩井克人
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セネカ(ストア派の哲学者)

目指すべき港を知らなければ、いかなる風も追い風にはならない

“目指すべき港を知らなければ、いかなる風も追い風にはならない。”

目的地を決めず、やみくもに突き進んでいては、風に流されてただ彷徨うばかり。目的地を決めることで、追い風を捉えることができます。

セネカは、「幸運とは、準備と機会が出会った時に生じる」といった言葉も残しています。目的地を決めたら、風や波(=偶然、セレンディピティ)に任せて進み続けることも大事かもしれません。

著:セネカ, 翻訳:大西 英文
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田中慎弥(小説家)

“鍋の中の水を泳いでいて、その鍋が火にかけられていることに気づかず、知らないうちに茹で上げられてしまう蛙のようになっていてもいいのかどうか。(中略)

つまり取り巻く環境や状況の如何にかかわらず、思考停止に陥っていれば、また物事を考えるのが億劫になっていれば、あなたはすでに奴隷であるといえる。”
(『孤独に生きよ』(徳間書店)より)

田中氏は、思考停止に陥っている状態は”奴隷”であると指摘します。たとえば、毎日が残業続きで、起きている時間のほとんどを仕事に拘束されている人。あるいは、残業が多くなかったとしても、反論が許されない雰囲気、主体的な思考を阻むような雰囲気が蔓延しているなら、奴隷化を促すものとなります。

では、奴隷状態から抜け出すにはどうしたらよいか?

田中氏は、「自分の頭で考える」というシンプルな営みが、奴隷状態から抜け出すポイントであり、そのためには、奴隷状態から思い切って抜け出す=逃げることも必要だとアドバイスを送っています。

著:田中慎弥
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みうらじゅん(イラストレーターなど)

仕事なんてものは、本業ではなく副業

“仕事なんてものは、本業ではなく副業”
(Youtubeチャンネル「ReHacQ」の対談より)

視聴者からの「仕事で辛いことを乗り越えるにはどうしたらよいか」という質問に対して、みうらじゅん氏は「仕事を本業と思うから辛く感じる。人間の本業は、食べる・排泄する・寝るといった生活そのもの。仕事なんてものは、そもそも本業ではなく、副業である。」といった趣旨の回答をしています。

仕事を本業と考えるからこそ、仕事ばかりに頭が集中してしまい不安や苛立ちを感じてしまいます。みうらじゅん氏が言うように、仕事は「副業」にすぎず、基本的な生活や趣味こそが「本業」である、と従来の価値観を転換することで、もっとラクに仕事に向き合えるのではないでしょうか。

著:みうら じゅん
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柳井正(経営者)

人生の行き先がどのように決まるかは偶然でもあり、必然でもある

“人生の行き先がどのように決まるかは偶然でもあり、必然でもあります。私はこれを言い続けてきましたが、自己実現の可能性は与えられたものの中でしか見つけられません。何を与えられるかは偶然によるところが大きく、どのような経験をし、どのような人と出会い、どのような機会を得られるかは、一人ひとり異なります。ただし、その中から可能性を見出すしかないと考えれば、人生の行き先は必然で決まるといえます。”
(『ハーバード・ビジネス・レビュー』2024年7月号より)

キャリアの正解を無限にある選択肢の中から一つだけ選び取らなければならない、そう考えるといつまでも迷ったままで前に進むことはできません。

「自己実現の可能性は与えられたものの中でしか見つけられない」(=必然でもある)と考えると、進むべき方向が見えてくるのではないでしょうか。

著:ダイヤモンド社, 編集:DIAMONDハーバード・ビジネス編集部
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できることとできないことを峻別し、できることに全精力を傾ける

“自分に与えられたもの、自分の能力、それまでに出会ってきた人々や社会情勢なども踏まえて行き先を決めたら、どのような道筋をたどるべきかを考える。そして、できることとできないことを峻別し、できることに全精力を傾けるしかありません。”

できないことにあれこれ悩まず、できることに集中する。その積み重ねが、やがて運を引き寄せる。

以下は、ラインホルド・ニーバーの有名な言葉ですが、共通するものを感じます。

神よ
変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。

著:ダイヤモンド社, 編集:DIAMONDハーバード・ビジネス編集部
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過去を振り返った時だけにしかわからない

“アップル創業者のスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で「将来を考えて、点と点を結ぶことはできない。過去を振り返って初めて、点と点をつなげることができる」と話したように、たとえ転換点や変節点を迎えたとしても、その時点では、それぞれの経験が持つ意味に気づくことはできません。(中略)ある経験に特別な意味があったといえるのは、そこに至るまでの全体像を把握できている時だけ、要するに、過去を振り返った時だけにしかわからないということです。”
(『ハーバード・ビジネス・レビュー』2024年7月号より)

過去を振り返り、現状を直視することによって、自分というものが見えてきます。

柳井氏は、仕事でも学問でも、あらゆることが自分を発見するための取り組みだとも述べています。

著:ダイヤモンド社, 編集:DIAMONDハーバード・ビジネス編集部
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